また「翁」に複数ある小書のうち、「初日」「二日目」「三日目」「四日目」「法会舞」「父尉延命冠者」を併せて掲載しています。 「初日」~「四日目」は「翁」が数日にわたって演じられる場合の小書、「法会舞」は追善の小書、「父尉延命冠者」は翁が父尉に、千歳が延命冠者になる小書です。 内容の把握にお役立てください。
翁
シテ 翁 ツレ 千歳 狂言 三番叟 地は 知らず 季は 雑 翁「とう〳〵たらり〳〵ら。たらりあがりらゝりとう。 地「ちりやたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう。 翁「所千代までおはしませ。 地「我等も千秋さぶらはう。 翁「鶴と亀との齢にて。 地「幸心に任せたり。 翁「とう〳〵たらり〳〵ら。 地「ちりやたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう。 千歳「鳴るは滝の水。鳴るは滝の水日は照るとも。 地「絶えずとうたり。ありうとうとうとう。 千歳「絶えずとうたり。常にとうたり。(千歳舞) 千歳「君の千歳を経ん事も。天津乙女の羽衣よ。鳴るは滝の水日は照るとも。 地「絶えずとうたり。ありうとうとうとう。 翁「総角やとんどや。 地「尋ばかりやとんどや。 翁「やあ座して居たれども。 地「参らうれんげりやとんどや。 翁「千早振。神のひこさの昔より。久しかれとぞ祝ひ。 地「そよやりちやんや。 翁「凡そ千年の鶴は。万歳楽と歌うたり。又万代の池の亀は。甲に三極を備へたり。渚の砂索々として。朝の日の色を朗じ。滝の水冷々として。夜の月あざやかに浮んだり。天下泰平国土安穏。今日の御祈禱なり。在原やなぞの翁ども。 地「あれはなぞの翁ども。そや何くの翁とうとう。 翁「そよや。(神ガク) 翁「千秋万歳の歓びの舞なれば。一舞まはう万歳楽。 地「万歳楽。 翁「万歳楽。 地「万歳楽。 底本:国立国会図書館デジタルコレクション『謡曲評釈 第五輯』大和田建樹 著
翁 初日
シテ 翁 ツレ 千歳 狂言 三番叟 地は 知らず 季は 雑 翁「とう〳〵たらり〳〵ら。たらりあがりらゝりとう。 地「ちりやたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう。 翁「処千代までおはしませ。 地「我等も千秋さぶらはう。 翁「鶴と亀との齢にて。 地「幸心に任せたり。 翁「とう〳〵たらり〳〵ら。 地「ちりやたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう。 千歳「鳴るは滝の水。〳〵。日は照るとも。 地「絶えずとうたり。ありうとうとうとう。 千歳「絶えずとうたり常にとうたり。(千歳舞) 千歳「処千代までおはしませ。 地「我等も千秋さぶらはう。 千歳「鶴と亀との齢にて。処は久しく栄え給ふべしや。鶴は千代経る君は如何経る。 地「万代こそ経れ。ありうとうとうとう。 翁「総角やとんどや。 地「尋ばかりやとんどや。 翁「やあ座して居たれども。 地「参らうれんげりやとんどや。 翁「松やさき翁や先に生れけん。いざ姫小松年くらべせん。 地「そよやりちやんや。 翁「およそ千年の鶴は。万歳楽と歌うたり。又万代の池の亀は。甲に三極をそなへたり。渚の砂索々として。朝の日の色を朗じ。滝の水冷々として。夜の月鮮かに浮んだり。天下泰平国土安穏。今日の御祈禱なり。在原や。なぞの翁ども。 地「あれはなぞの翁ども。そやいづくの翁。とう〳〵。 翁「そよや。(神ガク) 翁「千秋万歳の。歓びの舞なれば。一舞まはう万歳楽。 地「万歳楽。 翁「万歳楽。 地「万歳楽。 底本:国立国会図書館デジタルコレクション『謡曲評釈 第五輯』大和田建樹 著